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桜を見てると訳もなく切なくなる時があります ほ「・・・」 ほたるには訳はないわけではないようで マ「ほたる」 ほ「あれ?マコト仕事はー?」 マ「半休にしてきた」 ほ「この時期は忙しいんじゃなかったけ?」 マ「俺はズルができるからな。」 ほ「あーー職場で魔法使ってー悪いんだ」 マ「ふ。・・・あまりお前を独りにしたくないからな。桜の時期は」 ほ「だいじょうぶだよ。 ・・・あたしはだいじょうぶ」 マ「・・・・無理に思い出さずともいいだろう?辛い・・・思い出を」 ほ「ううん。・・・辛いけど、思い出したくないこと、ないから」 マ「そうか」 ほ「うん」 マ「・・・・」 ほ「・・・・あの子の事覚えてるのはあたしだけだから。 せめて・・・ね」 マ「そうだな・・・・ああ、そうだな」 風に舞うひとひら ほたるは悲し気に目を伏せる 儚く消えたあの子を想い ほ「ほたるちゃん・・・」 呟いてみるもそれがあの子の名であるという実感がスッと胸から抜けていく それがあの子の『願い』であったが故に それがほたるの『魔法』の残り香が故に 『万願成就』 対価を奪いどんな願いも叶える ほたるの 否 悪魔『ぷち』の魔法 『あたしの代わりにふたりを幸せにしてあげて』 それがあの子の、オリジナルの心野ほたるの、願い 自身を虐待した両親の幸せを願い 心折れた自分自身に幕を下ろし 唯一の友達であった手のひらほどの悪魔『ぷち』に全てを託した 姿も 名前も 記憶も 思い出も 感情も 魂すらも 全て 全てを失い桜が散る如く消えていく『あの子』 名を失った事で名を呼ぶこともできないことに愕然とし 『あの子』の記憶が薄れていくことに恐怖した 叶えたくなどなかった ただ「助けて」と言ってほしくて起動した『万願成就』 対価などどうとでもなると高をくくり けれど 『あの子』の願いも 自分の魔法も 何ひとつ思い通りにならず 少女の姿をした悪魔はただ叫んだ 消えるな、と ・・・・・・・ ほたるはその愛しい気配に目を向ける 心配そうに覗き込む夫の姿 ほたるは微笑んでその視線に応える 「だいじょうぶだよマコト」 「そうか」 この人は『あの子』じゃない あの時、咄嗟に魔法の核を切り裂き引きちぎって助け出した魂の欠片 その中に残っていた『ぷちと一緒にいたい』という微かな想い 『万願成就』がその想いを叶えて生まれたのが彼 姿も違う 名前も違う 性別すらも違い 記憶も・・・ない だからマコトは『あの子』じゃ、ない それでも 「あたしが『痛い』ときにそばにいてくれるのはマコトだね」 「当たり前だろう・・・」 言葉を切り視線を巡らせるマコト 人の気配のないことを確認するとほたるの耳元で囁いた 「ぷち。俺はお前と一緒にいる。そのために俺はいるんだ」 「ありがと・・・ミナちゃんにもそろそろかなー」 何が?とは問わない。自分たちの正体を明かすことをだ 「魔力の封印はわりとあっさり解けちまったからな。 大学受験くらいまでは煩わせたくはなかったんだが」 「まーミナちゃんならだいじょうぶだよ」 それは自分に言い聞かせるように 「ま。ミナなら大丈夫だろう」 それは妻を安心させるように 「おいおいだね」 「おいおいな」 見上げる桜はただただ綺麗で ほたるはただただ苦笑を浮かべた #オリジナル #花祭り2022
コメント
パン田シンジツ
2年前
遊んでやってください www 小さくなろうが変身しようが何でもアリなやつなのでw
Ringo 🍎🍎🍎
2年前
いつもと違う側面を見た気がします。ほたるさんと、もっと遊ぼうって思いました。
パン田シンジツ
2年前
例によって過去作の一部書こうとしたら泣けてきたので短縮w