◆モデルのテーマ「聖夜のお届け物」
「メリークリスマス!」
乾いたクラッカーの音と共に少女の声が一つ。
床に散った紙くずがその状況の虚しさを物語っていた。
無機質なワンルームの一部屋に、派手なクリスマス柄のテーブルクロスの掛ったラウンドテーブルが一つ。
その上にはケーキやチキンなどのご馳走が敷き詰められ、
灯されたキャンドルを照り返し、鮮やかな光景を作り出していた。
それとは裏腹にクラッカーを引き終えた彼女の表情はどこか晴れず、散らかった紙くずをいそいそと片付け始める。
「今年もソロクリスマスかー」
別に彼女は一人になることを望んでいる訳ではない。
ただ、一緒にクリスマスを祝えるような気の知れた知人がいないだけなのである。
もちろん、今外へ出かければライトアップされた煌びやかな街並みが出迎えてくれるが、そこに人間としての"素"を持たない彼女に居場所はない。
だからこうして一人で祝うしかないのだ。
ただ、そんな彼女の心境に神が答えてくれたのか
小ぶりなクリスマスツリーの下にはいつの間にか
丁寧にラッピングされた小包が置かれていたのである―