ある悪魔の物語 第8章
寄り道のSceneばかり作成していたので本編、忘れそう・・・
画像に合わせて全年齢としています。
【注意】
文章はダークファンタジー設定のため過激な表現が含まれる可能性があります。苦手な方はスルーしてください。文章は生成AI Geminiと共同で作成しています。
#アヴァマナ #ダークファンタジー #ストーリー #AI #ある悪魔の物語 #第8章
ー―――ここから
第8章:鳥籠の外側
ガタゴトと重苦しく揺れる馬車のシートで、アヴァマナは心底だるそうに大きなあくびを噛み殺した。
「はぁーあ……ホント、人間の偉い奴ってどいつもこいつも無駄に威張りたがるわねぇ」
紫の爪を退屈そうにいじりながら、窓枠に肘を突く。
修道院のあの偉そうなジジイどもが地面に額を擦りつけて這いつくばるような、どこぞの大層な権力者様からの「お呼び出し」だというのに、アヴァマナの態度には欠片の緊張感もない。
ふと窓の外へ視線をやると、自分たちの乗る豪勢な馬車の前後を、重々しい甲冑を纏った兵士たちがゾロゾロと固めていた。そして隊列の最後尾には、分厚い覆いを被せられ、車輪をぎしぎしと鳴らす異様に重そうな大型の貨物馬車が数台、引きずられるように続いている。
「なによあの重そうな大荷物。アタシの引越し道具でも運んでるわけ?」
呆れたように呟いた瞬間、アヴァマナの鋭い目がふっと細められた。
視線の先には、見慣れた街の境界線。
——本来なら、アヴァマナがこの境界を越えて踏み出した瞬間、背中の大烙印が灼熱の激痛を上げ、絶叫とともに引き戻されるはずの「外」だった。
馬車は速度を落とすことなく、難なく境界線を踏み越えていく。
(……あれ?)
アヴァマナはそっと背中に手を回す。
痛まない。熱くもない。まるで最初から呪いなど存在しなかったかのように、背中は静まり返っていた。
街から数キロ、十数キロと離れても、背中の大烙印は沈黙を守ったままだ。
(ふーん……? おかしいなぁ。街の外に出たらアタシは焼き殺される……そういう『場所の制約』の権能じゃなかったわけ?)
アヴァマナは車窓の外、後ろをゾロゾロと追ってくる不自然な貨物馬車へ再び目をやった。車輪を軋ませ、必死の様相で追従する大隊列。普段は地下牢の奥深くに鎮座していたあのキモい飾りが、いまあの荷台に乗せられているとしたら——。
思考が静かに繋がり、彼女の薄い唇が怪しく歪む。
(……もしかして、そういうこと?)
アヴァマナは視線をゆっくりと戻し、馬車の向かいの席で緊張に身体をこわばらせている「いつものゴミムシ」へと注いだ。ジト目に甘い光を宿し、ねっとりと声をかける。
「ねぇ……ゴミムシくん♪」
「ひっ……な、なんだべ急に気味の悪い声出して!」
「ふふ、酷い言い草ねぇ。ねぇねぇ、ちょっと気になったんだけどさ……あっちの後ろを走ってる、すっごく重そうな馬車あるじゃない?」
アヴァマナはあざとく首をかしげ、爪を立てた指先でゴミムシの膝をトントンと撫でた。
「もしも……あの馬車の車輪が外れて崖から落ちたりしてさぁ、アタシたちから遠く離れちゃったら……アタシ、どうなっちゃうと思う?」
ゴミムシの顔から一瞬で血の気が引いた。
「ば、バカ言うな! お前、何考えてんだべ!! あ、あの馬車が数キロ以上離れたら、お前の背中が焼きついて死んじまうんだぞい! 必死で追いつかせてんだから余計なことすんじゃねぇ!!……あっ」
口を滑らせたことに気づいたゴミムシが、慌てて両手で自分の口を塞ぐ。だが、もう遅い。
アヴァマナの口元が、見るに耐えないほど醜悪で美しいゲス顔へと跳ね上がった。
「へぇ~……『街』っていう優雅な鳥籠に閉じ込められてると思ってたら、単にあの『犬小屋』から伸びた紐に繋がれてただけだったんだぁ……♪」
自分を縛っていたのは崇高な大結界などではなく、あの重い馬車の中に鎮座する何か——人間が汗だくで持ち運ぶ、移動式のお散歩紐に過ぎなかったのだ。
真実を察したアヴァマナは、暗い紫の瞳を不気味に輝かせ、青ざめて震えるゴミムシの頬を優しく、そして妖しく撫でまわした。
車窓の外から差し込む影が彼女の美貌を恐ろしく歪め、暗がりの中に低い高笑いがくぐもって響く。
「くくく……ふふふっ♪ 教えてくれてありがと。ゴミムシくんは……ほんっとうに、いいコだねぇ……♪」
悪魔の暗い欲望が深まる中で、馬車はゆっくりと夜の闇の中へ消えていった。