■衣装の物語
古い神殿の奥、
白い石に囲まれた静かな祭壇に、
ひとりの少女が立っていた。
胸元には百合の紋章。
それは癒しの象徴。
彼女はまだ幼い。
けれどその祈りは、誰よりも真摯だった。
傷ついた者のために。
迷った魂のために。
声なき願いのために。
少女は目を閉じ、
両手を重ねる。
その瞬間、
百合の紋が淡く光る。
それは力ではない。
奇跡でもない。
ただ、
誰かを想う心。
祈りが神聖と呼ばれるのは、
そこに見返りがないから。
百合は静かに咲く。
強くもなく、誇らしくもなく、
ただ優しく。
少女は今日も立ち続ける。
誰かを癒すために。
世界を救うためではなく、
目の前のひとりを守るために。
そしてその祈りは、
いつしか光となり、
神殿を満たしていく。