リコ社長の会社が倒産し、多くの社員が職を失った。リコ社長は生活のために、娘リム会長の会社で掃除のパートとして働き始めた。かつての華やかな日々は過ぎ去り、今や地道な仕事に従事していた。その一方で、リムの姉、リス秘書はカードゲームショップで働いていた。リムは、リス秘書を自分の秘書として迎え入れようと決意し、ある日カードゲームショップを訪れた。
その日、リス秘書はカウンターでカードの整理をしていた。店のベルが鳴り、誰かが入ってきた。顔を上げると、そこには予想外の人物が立っていた。リムだった。彼女は冷徹なビジネスウーマンとしての姿を保ちながら、リス秘書に向かって歩み寄った。
「リス姉さん、久しぶりね。」リムは冷ややかな声で言った。
「リム…」リス秘書は驚きつつも、冷静に応えた。「ここに何の用？」
「姉さんを迎えに来たの。私の秘書として働いてほしい。」リムは真剣な眼差しで続けた。「ママのこともあるし、私たち家族はもっと一緒にいるべきだと思うの。」
リス秘書は一瞬ためらったが、答える前にリムの目が店内の一枚のカードに留まった。「これは…『ビンゾコ眼鏡お兄さん』。面白いカードね。」
リス秘書はそのカードを見て、苦笑した。「確かに珍しいわ。でも、そのカードは既に予約が入っているの。」
その時、小学5年生の男の子が店に駆け込んできた。彼の名はタケル。彼は数ヶ月間のお小遣いを貯めて、ようやく『ビンゾコ眼鏡お兄さん』を手に入れることができる喜びに満ちていた。
「お姉さん、僕の予約していたカード、今日買いに来たよ！」タケルは嬉しそうに叫んだ。
リムはその様子を見て、冷たく笑った。「悪いけど、このカードは私が欲しいの。数億円出してでもね。」
その時、店長のカサハラがカウンターから現れ、リムに向かって歩み寄った。「リム会長、お久しぶりです。数億円でのカード購入に大いに同意します。」
タケルは驚きと失望で顔を曇らせた。「そんな…僕がずっと欲しかったのに…」
リス秘書はタケルの肩に手を置き、優しく言った。「心配しないで、タケル君。このカードはあなたのものよ。」
リムは挑発的な笑みを浮かべた。「リス姉さん、そんなことを言っても、現実は違う。私が欲しいものは手に入れる。それがビジネスの世界のルールよ。」
リス秘書は決意を込めて立ち上がった。「リム、あなたがホルダーズ日本代表のチャンピオンであることは知ってる。でも、このカードを守るために、私があなたに挑むわ。」
リムは興味深そうに頷いた。「いいわ。久しぶりに本気のバトルができる。それで、もし私が勝ったら、このカードは私のものになるわよ。」
リス秘書はタケルに微笑みかけ、「任せて。お姉さんが頑張るから。」と言った。
店内の小さなテーブルがバトルフィールドとなり、観客はリス秘書とリムの一騎打ちに注目していた。リムはカードを引き、自信満々に展開する。
「行くわ、『ビンゾコ魔人』！」魔人の威圧感が場を支配する。
リス秘書は冷静に対抗。「召喚、『ビン底ニート・タカシ』！」タカシはビン底眼鏡をかけ、ボサボサの髪とヨレヨレの服を纏ってステージに現れた。彼の存在感は異様でありながら、どこか哀愁を帯びていた。
バトルが進むにつれ、両者のカードのスキルと戦略が激しくぶつかり合った。リムは『ビンゾコ魔人』の力を最大限に活かし圧倒しようとしたが、リス秘書も『ビン底ニート・タカシ』の特殊能力を巧みに使って対抗した。
「タカシ、行け！『引きこもりバリア』で防御を固めるのよ！」リス秘書の指示で、タカシは驚異的な防御力を発揮し、リムの攻撃を防ぎ続けた。
リムは焦りを見せず、新たなカードを引いた。「いいわ。これで決める。『未来を照らす光』！」リムのカードが輝き、場全体を包む。リス秘書のデッキの全てのカードが無効化され、リムの勝利が確定したかに見えた。
だが、リス秘書は最後の一手を残していた。「タカシ、今こそ力を見せて！『コンビニ夜勤』！」タカシは再び立ち上がり、その姿が巨大化していった。
リムは驚きと共にカードを見つめた。「何よこの力は…は！まさか私のカード『未来を照らす光』の効力が作用しているというの！？」
タカシの力で『ビンゾコ魔人』は圧倒され、リス秘書の勝利が確定した。観客から歓声が上がる中、リムは冷静に立ち上がった。
「やるわね、リス姉さん。あなたの勝ちよ。」
リス秘書はタケルにカードを渡し、「おめでとう、タケル君。このカードは君のものだよ。」と言った。
タケルは感激して涙を浮かべた。「ありがとう、お姉さん！」
その時、店長のカサハラが激怒して現れた。「リスくん、こんな結果になるなんて思ってもみなかった！数億円の取引を逃すなんて、許せない！」
リス秘書は驚き、抗議する。「でも、アンティルールの正当な勝負だった。お客さんのために戦っただけよ。」
カサハラはさらに激昂し、「リスくん、あなたをこの店から解雇します！二度と来ないでください！」と言い放った。
リス秘書は失意の中、カードショップを後にした。仕事も失い、将来への不安が胸を締め付けた。彼女はしばらくの間、街をさまよいながら、今後どうすべきかを考えていた。
その時、後ろから懐かしい声が聞こえた。「リスしゃん、大丈夫ジャスか？」
リス秘書は振り返り、その声の主を見て驚いた。そこには、成長した幼馴染のジャスティス清志が立っていた。
---続く
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